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by chirimendonnya
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『ストラヴァガンザ-仮面の都』メアリ・ホフマン  小学館 

ファンタジーが好きなので、図書館で見かけるとつい借りてしまいます。ハリー・ポッターシリーズの大ヒット以来、本当にたくさんのファンタジーが出版されています。これもその一つ。仮面をモチーフにしたちょっとおどろおどろしい表紙が印象的です。”ストラヴァガンザ”というのは、この作品の中では”時空を旅すること”という意味だそうです。

あらすじ:
脳腫瘍治療の副作用に苦しむルシアンは21世紀ロンドンに住む15歳の少年。ある日、父親からメモ帳をもらった彼は、気がつくと全く見ず知らずの場所にいた。なんとそこは16世紀。しかも、ルシアンのもといた世界とは異なる歴史をたどってきた世界なのだ。その町、イタリアのベネチアとよく似たベレッツァでルシアンの大冒険が始まる。

作中では、基本的に21世紀ロンドンと16世紀ベレッツァが交互に描写されています。自分の世界21世紀ロンドンでは化学療法の副作用でふらふらなのに、パラレルワールド16世紀のベレッツァでは元気いっぱい。なぜ?主人公ルシアンはジレンマを感じ、実世界の自分をじれったく思っています。だからといって、彼はひねくれた陰険な子供ではありません。最近のファンタジーの主人公では珍しいくらい、素直で純朴な子供です。そのせいか、年齢より幼く感じましたが、好感が持てます。その他の登場人物は、元気で面倒見がいいけど、ちょっと意地っ張りなヒロイン・アリアンナ、普段はクールだけど恋人のことになるととたんに熱くなる大魔法使いロドルフォ、冷徹だが威厳にあふれるドゥチェーサ(女公主)シルヴィアなど。ルシアンの味方サイドにいる人は、おおむね魅力的です。対してベレッツァ乗っ取りをたくらむレーマ側は、この作品中の大使以下せこい小悪党ばかりで、いまいちです。これだと数々のたくらみが失敗するのも無理はない、と思いました。この作品は3部作だそうですが、次作以降で巻き返しなるでしょうか。

ストーリーは、最近出たファンタジーの中でも大人っぽい感じ。パラレルワールドですから、もちろんこの世界とは違う歴史をたどっているわけですが、随所で本当のイタリアの歴史との共通点が見られます。歴史も好きな方なら、より楽しめると思います。ファンタジーにつきものの冒険に政争、陰謀などの大人の事情が絡んできます。部分的に都合がよすぎる点が目につくところがありましたが、読んでいて不快に感じるほどではありませんでした。謎が謎を呼び、テンポよく進んでいきます。そして、最後はアッと驚く展開で、きれいに終わります。イギリスではすでに第2弾が発行されているとのこと。読むのが楽しみです。
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by chirimendonnya | 2005-01-13 20:42 | ファンタジー