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by chirimendonnya
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サンセット大通り

「アパートの鍵貸します」や「お熱いのがお好き」で知られる名監督ビリー・ワイルダーの作品です。サイレント時代の大女優が出てくるというのは知っていたのと前記2作品の印象から「雨に唄えば」のような映画だと思っていましたが、全然違いました。

あらすじ:
とある豪邸のプール。若い男の死体が浮かんでいる。彼の死には往年の大女優が関係しているようだが・・・。ことの顛末が時間をさかのぼって語られる。
男の名はジョー・ギリス。売れない脚本家だ。たまたま荒れ果てた豪邸に迷い込んでしまったことをきっかけに、屋敷の女主人でサイレント時代の大スター ノーマ・デスモンドから脚本の手直しを依頼される。今まで経験したことのない優雅な生活を送ることになったジョー。しかし、未だに大スター気取りの上に精神的に不安定なノーマに、段々嫌気がさしはじめる。

コメディだと思っていたら、サイコサスペンスでした。ほとんど予備知識がない状態で見たので、今まで見た中である意味一番怖いと感じました。特に超常現象が起きたり、怪物が出てくるわけではありませんが、往年の大女優が醸し出す狂気がただごとではありません。部屋の中に若い頃の自分の写真を何十枚も飾り、見る映画は全て自分が主演した作品。もういい年なのに自分はまだまだ魅力的だと勘違い。実際、映画の後半に明かされる年齢よりは若く見えるし、昔はとても綺麗だったんだろうなということはわかります。もう少し分別があって現実を見ていたら、また違った人生を送ったかもしれません。でも、そうするにはあまりも売れすぎたようだし、心がもろすぎました。行かないで、とジョーに懇願する様子はまるで幼い子供のようです。終始、常軌を逸した行動を取る彼女を痛々しく感じていましたが、時にものすごく哀れに感じるときがあり、そのあたりに演じた女優のすごさを感じます。

女優に負けずに怖いのが執事。何もしないのが、かえって怖いです。愛するご主人様のために、いつ凶行に走るかどきどきしながら見ていたけど、何もありませんでした。それどころか彼女のために全てを捨てた彼の愛にちょっと感動してしまいました。

あまりの怪演ぶりに調べてみたら、ノーマ役のグロリア・スワンソンと彼女を愛するあまり自らの未来を捨てた元監督いま執事役・エリッヒ・フォン・シュトロハイムは、実際にサイレント時代のスター女優・監督ということです。役に説得力があるはずだ、感心してしまいました。

その二人以外にもジョーを演じるクラッシックな2枚目ウィリアム・ホールデン、ジョーに心を寄せるベティ役のナンシー・オルソンも役にぴったりです。特に、化け物じみたオバサンの対極にあるベティがいることで、よけい怖さが増しているのでかわいく清楚な彼女の存在は大事です。ジョーとベティのシーンは、明るく健康的で、夢があります。このパートも良くできているからこそ、これだけの作品になったと思いました。

狂気爆発、かつ見る側の意表をついたラストは必見です。ただし、かなり怖いので怖いのが苦手な人は夜中に見ない方がいいと思います。夢で一晩中うなされるおそれがあります。
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by chirimendonnya | 2005-03-03 09:22 | 映画