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by chirimendonnya
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『琥珀の望遠鏡』上下  フィリップ・プルマン  新潮文庫

『黄金の羅針盤』、『神秘の短剣』と続いた「ライラの冒険」もこれで終わりです。

あらすじ:
少女アーマは洞窟の中に住む女の所に毎日食べ物を届けている。この上なく美しいその女は、「娘」だという眠りっぱなしの少女と暮らしている。女のいうことを信じていながらも少女をかわいそうに思ったアーマは、眠りを覚ます薬を持って洞窟に忍び込む。そして、そこで女が嘘をついていたことを知ったのだった。

前読んだときに、二つの前作と比べて印象に残らなかった記憶がありました。本の厚さだけなら1.5倍位なのにどうしてだろうと思っていたら、色々なことをやろうとして話があちこちに飛んでいたせいだとわかりました。特に上巻。離ればなれになったライラとウィル両方の視点に加え、前作で登場したメアリー博士の視点も加わるために非常に散漫な印象を受けました。良くいえば壮大、神話的。悪くいえば欲張りすぎな感じです。そして、こういう神に挑戦するような筋の話は難しいと改めて思いました。たいがい、同種の話は世界観を広げすぎて追われなくなったり、小さくまとまってしまうことが多いので、その中ではしっかりまとまってる方だと思います。自分の中でいまいちなのは、きっと今までの展開やせりふ、記述で期待しすぎていたからでしょう、多分。

今回読むのは2回目なので、初読時には夢中になって読んだのに拒否反応を起こしてしまったり、登場人物の発言にしらけるところがあったのは残念。私にとっては3作全てが何度読んでも楽しめるというわけではないようです。ライラの性格は巻を追うごとに気にならなくなってきたけど、安易な発想と発言が多いのは相変わらずです。死者の世界についての考えは、子供らしくてかわいいかもしれないけど、一線を越えていて受け付けませんでした。あと、「ピンチになったら短剣で違う世界を開いて逃げればいい」というのも、短剣がそういう役割の品なのは確かであっても口に出して欲しくなかったです。気分がしらけます。

こんな調子でいまいち乗りきれなかった最終巻ですが、最後は好きです。超えてはいけないもの、本来守りたいものを主役二人に忘れさせず、安易なハッピーエンドにさせないのが良かった。余韻の残る素敵な最後です。最初の持ち上げられっぷりはどこへやら、最終巻ではうそつきなことで辛い思いをしたライラ、最後の場面では一皮むけたように思いました。続きも見てみたいと思います。
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by chirimendonnya | 2005-04-12 11:03 | ファンタジー