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by chirimendonnya
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『盗まれた記憶の博物館』上下 ラルフ・イーザウ  あすなろ書房

あらすじ:
ジェシカとオリバーは双子の姉弟。ジェシカはプログラミング、オリバーは絵を描くのが得意。しっかり者の姉とぼんやりした弟の二人は、対照的な性格ながらも二人は楽しく暮らしている。そんなある日、警察が家宅捜索にやってくる。博物館の警備員をしている二人の父親が所蔵品を盗んだあと、姿をくらましたというのだ。
 でも、ちょっと待って。父さんってどんな人だっけ。
何も覚えていない自分たちにショックを受け、二人は手がかりを捜し始める。色々調べた結果、重大なことが起こりつつあるのが判明。それにまつわる謎を調べる過程でオリバーは異世界に迷い込んでしまう。残されたジェシカは、仲良くなった学者の女性とともに何とか危機を防ごうとするが・・・。


ジェシカとオリバーの会話が漫才みたいで読んでいて楽しくなります。ぼけとつっこみがはっきりしていてなかなか見事なコンビネーションです。

題名から色々な時代にタイムトラベルする話ではないかと思っていましたが、その予想は見事に外れました。のんびり屋の弟オリバーが迷い込む異世界は、人々から忘れ去られたもので構成される世界。様々な時代に存在した人や物が忘れ去られることで、やってきた場所なのです。上巻でこの世界のことはじっくりと語られ、忘れられることの悲しみやむなしさを思うと胸が痛くなりました。その流れで戦争のことも語られます。忘れることを極力防ごうとしている国でも日々忘れられる記憶。そして忘却がある地点に達すると、色々問題が起こったり、再び同じことが繰り返されてしまいます。今の世の中を思うと深く考えさせられました。ドイツ人の作品には、戦争のことが良く取り上げられます。それだけあの問題が彼らにとって未だに大事であることを外国人の私も実感します。

話は最初と最後をのぞいてオリバーのパートとジェシカのパートが交互に展開します。愉快な仲間が多数登場し、胸躍る冒険が繰り広げられるオリバーのパートの方が私は楽しめました。女性学者と謎解きをするジェシカのパートもこれはこれで面白いのですが、ちょっとご都合主義な点が目立ち、私はいまいちでした。最後はやりすぎなくらいのハッピーエンドでちょっと微妙。最初がすごく面白かっただけにやや残念です。
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by chirimendonnya | 2005-05-28 19:33 | ファンタジー