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by chirimendonnya
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『長岡輝子の四姉妹  美しい年の重ね方』鈴木 美代子  草思社

母が買ってきた本を私も読ませてもらいました。宮沢賢治作品の朗読などで知られる女優・長岡輝子の本人と姉妹のこれまでの人生の記録。著者はカバー折り返しのプロフィールによると、長岡輝子の文学座での後輩で『お話出てこい』などの放送台本を中心に執筆してきた人とのことです。

年齢の割に若々しい四姉妹(長女100歳 三女=長岡輝子95歳、四女88歳、五女83歳 いずれも撮影当時)がそろってほほえむ表紙が目を引きます。このうち、お姉さんは昨年亡くなられています。

長岡輝子の朗読会は前に行ったことがあって、そのときの印象は「上品でおばあさん」という感じでした。実際、「女優になりたい」といったら、「それじゃあ(日本での女優の地位は低いから)ロンドンに行って勉強してみたら?」とお父さんが言ったそうで、相当余裕のある暮らしぶりがうかがえます。ちなみにお父さんは英語の教科書の執筆者で、当時としては大変な高収入を得ていたということが文中にも出てきます。朗読会では穏やかな方に見えましたが、若い頃には相当突っ張った性格だったことがうかがえ、年月は人を丸くするんだなあと妙な感慨を感じてしまいました。

この本は年齢の順にそれぞれ4人の人生が語られています。他の三人は女優ではないもののそれぞれ興味深いエピソードがつづられていること、そしてもちろんご本人の人間的魅力でなかなか面白く読めました。

ただ、2点ほど気になるのことがあります。一つ目は認知症の老人についてずいぶんきつい言葉を使っていることです。そんなに何度も出てくるわけではありませんが、一般論的なことはもちろん、ご姉妹の身内の方に対しても一瞬どきりとするような記述があり、そのたび何ともいえない気持ちになりました。職業柄、そのようなお年寄りと日々接していますので余計気になる部分もあるとは思います。でも認知症だからといって全く駄目ということはないので、複雑な気持ちでした。

もう一つは親しい人を題材にしている本の宿命ともいえるものです。題材との距離が近すぎてバランスを失っている部分があるように感じました。最初はそうでもないけど、読み進むにつれて気になってきました。4人とも素晴らしい人生を送ってこられたということには同意しますが、ところどころ崇めるような感じになっているのはよくないです。なるべく客観的になるよう努力されたことが後書きからは伝わってきますが、なかなか難しいことです。
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by chirimendonnya | 2005-06-18 18:17 | 読書色々