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by chirimendonnya
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『800』川島 誠   角川文庫

あらすじ:
中学生時代から注目のランナーで中高一貫校に通うクールな広瀬と中学時代、本業(バスケットボール)の片手間で出た大会で注目されてスカウトされたお調子者の中沢。対照的な二人の共通点といえば「800メートルの選手」だということ。そんな二人が陸上はもちろん、恋をしたり遊んだり・・・。


私は本を選ぶときにあまり立ち読みはしなくて、タイトルと(あれば)ブックカバーのあらすじで決めます。でも、これからは最初の方をちょっとでも読むべきかなー、と思いました。それくらい、自分とは相性の悪い本でした。そして読み始めてすぐに「失敗」と思ったので、本選びはもうちょっと慎重にしようと思います。

何がいやかというと、まず主人公の一人である中沢の一人称です。お調子者というのみならず、ちゃらちゃらして下品な感じ。読み進むにつれて、「どんな環境でも結構なじめる」「誰とでも仲良くなれる」という美点が段々明らかになるし、決して悪い人ではないんだけど、最後までなじめませんでした。

それと濃厚な性描写について行けませんでした。確かにブックカバーのあらすじには他のことと並んで「恋をする」とも書いてあったけど、恋っていうよりも誰とやってどうしたこうしたという場面があまりにも多くてうんざり。恋ってそういうことだけではないと思うんだけど。体感としては主題の陸上より遙かに多くのページが割かれて、そんなことより競技の楽しさや選手としての気持ちの揺れをちゃんと書いてよ、という感じです。競技者としては主人公二人ともあまりに順調すぎだし、少々面白味に欠けます。

前半の主人公二人が800メートルの魅力について語るところと、ラスト数ページの大会のシーンは大変素晴らしかったので、ちょっともったいなく思います。要するに競技そのものについて書かれている部分は良いのです。もう少し、疾走感や躍動感を感じたかったです。
by chirimendonnya | 2005-08-28 20:01 | ヤングアダルト