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by chirimendonnya
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『夏への扉』ロバート・A・ハインライン   ハヤカワ文庫 SF

もう9月になってしまったので、やや季節はずれですが・・・。SFの古典的名作です。

あらすじ:
1970年。会社を共同経営していた親友、そして結婚を誓い合った女性に裏切られて意気消沈していたダンは愛猫ピートと共に冷凍睡眠することにする。ところが、前夜のいざこざで自分だけが冷凍睡眠することになる。可愛いピートと親友の義理の娘リッキィのことだけだきがかりだが・・・。
 それから30年。目覚めたダンは健康的には何ら問題はない。しかし、30年の時は長く当てにしていた資産の価値は0。しかも、風俗や言葉も変化が大きく、社会に適応するのにはそれなりに努力しなければならなかった。もともと好奇心の強いダンは何とか社会になじみつつ、恨み重なる人、そして愛しい人の足取りを調べるが・・・。

主人公を裏切るフィアンセがあまりにひどい女なので彼女が出てくるとページを飛ばしたくなったけど、それ以外はとても楽しく読めました。作品本来の面白さはもちろん、訳者のセンスも大きいのではないかと思います。天才肌のダンは、どちらかというと社会と折り合いをつけるのが実は苦手なタイプかもしれないけど、ユーモラスな文章のおかげか彼もこだわりがきちんと説明されているからか好感が持てました。良いものを作ろうという彼の発想は人として技術者として正しいと思います。

作中で何とはなしに出てきたことが、話が終わるまでにきっちり解消されます。途中までは「思うようには進んでいなかったけど、未来の世界で頑張ってね」と思いながら読んでいたら、途中でもう1回転、これ以上ないハッピーエンドで終わります。ハッピーと「あれはこうだったのか!(もやもや解消)」の二重の意味ですっきり爽やかでした。夏は終わりかけてるけど、清涼剤のような作品でした。

さて、この作品を語る上で忘れてはいけないのがダンの飼い猫ピート。いつだって”夏への扉”を探している自由を愛する猫です。キュートで勇敢なピートが序盤ですっかり気に入ってしまいました。終盤の見せ場は必見です。
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by chirimendonnya | 2005-09-03 20:55 | 小説