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by chirimendonnya
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『ストラヴァガンザ 星の都』メアリ・ホフマン  小学館

あらすじ:
 母親が再婚相手し、「兄」ができたジョージア。でも、両親がいない時を見計らって底意地の悪い行動を繰り返す彼とは折り合いが悪く、両親もまともに取り合ってくれない。憂鬱な日々を送る彼女だったが、骨董品店で翼がある馬の像を買ったことから新たな扉が開いた。
 なんとその像は異世界にとんでいける触媒だったのだ。
 イタリアにそっくりなその異世界では、年に一度の”星競馬”に向けて盛り上がっていた。馬が大好きなジョージアは興味津々。しかし、その星競馬、単なる楽しい行事ではなく、裏ではいろいろあるようだ。

仮面がデザインされた不気味な表紙だった第1弾『ストラヴァガンザ 仮面の都』とはうってかわって馬のシルエットを中心に十二星座がデザインされた美しい表紙。手にした瞬間、おっと思いました。700ページもあって分厚いので、重さもずっしりときましたが・・・。

『ハリー・ポッター』シリーズの大ヒットでいろんな会社からハード-カバーの分厚いファンタジーが多数刊行されるようになり、私も色々読みましたが、このシリーズはその中でも出色の作品だと思います。

タイトルにもなっているストラヴァガンザは時空を旅できる人のこと。でも、
(1)触媒がないと異世界(ただし、ルートは現代イギリスと16世紀タリアに限定)
(2)どちらかの世界で死んでしまうと片方の世界でしか生きられない
(3)現実世界で眠りについたときのみ異世界にいられる
といった制約があり、これが良い意味でストーリ-に緊張感を与えていて、読んでいて飽きさせません。ゴールに至るまでは様々な障害があり、安易に先が予想できないのです。さらに、異世界の設定も良くできていて細かいところも楽しめます。

個人的にいいと思うのが、説教臭さがあまりないことと本当の悪人はいないこと。特に後者は前作よりも強く感じました。小悪党、影の黒幕になっている人たちの心情もしっかり描かれていて、こういう役回りではあるけれど、優しいところがあるというのが読んでいてうれしく思いました。

前作の最後が非常に気になる終わり方だったので、どんな風に始まるんだろう?と気になっていたら、意表をつく始まり方でびっくりしました。まさか、主人公交代とは・・・。前作のルシアンとアリアンナがとても魅力的だったので残念に思いましたが、今作での彼らでは大人になりすぎていてもう主人公的な役回りには無理かな、とも思いました。特にアリアンナは単なる母親のクローンになってしまったみたいで悲しいです。地位相応かもしれないけど、いいところが消えてしまったように思いました。

今回の主人公はルシアンが現代に生きていた頃の知り合い、ジョージア。憂鬱な日々を送っていたことと、15歳にしては幼い自分の体つきにコンプレックスをもっていることで自信なさげな子ですが、本当にどこにでもいそうな女の子。それがタリアでの体験だけでなく、現実世界でも友人を得たことで段々成長していくところが一つの見所でもあります。彼女の日々の描写が非常にリアルなんですが、両親の離婚再婚をめぐる子供のトラブルはイギリスでは良くある問題なんでしょうか。

この作品は3部作で英語版はすでに完結している模様。つたない英語力でもつい原書で読んでみたくなる面白いシリーズです。
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by chirimendonnya | 2005-10-30 20:53 | ファンタジー