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by chirimendonnya
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『大統領の最後の恋』アンドレイ・クルコフ  新潮クレストブックス

あらすじ:
ウクライナの大統領セルゲイ・ブーニン。心臓移植を受けた彼はいまだ混乱する国内に、自分の心臓をきっかけに現れた女性に、困惑しっぱなし。青年時代、力のみなぎっていた十年前、そして現在と三つの時代を行き来しながらストーリーは進む。

600ページを超える非常に厚い本。ソフトカバーのせいか持ち歩きにもそんなに苦労しませんでした。

(1)現在のセルゲイ・ブーニン(2015年)貫禄の付いたややせっかちなおじさん
(2)10年ほど前の彼(2002年~)    社会的には重要な地位にある。ちょっと優柔不断。
(3)少年~青年時代の彼(1980年代) ほぼ女の子のことしか頭にないちゃらんぽらんな若者
で構成されていて、3つの物語が入れ替わり展開されます。それぞれが面白いこともあって全然飽きませんでした。

(3)段階の最初の彼は本当に情けなく、定職はないし、女の子を追っかけ回してばっかりいるし、どうしてこれが大統領になるのかと非常に謎です。色々な人との出会いを通して成長していき、最後には明るい未来を予感させます。ちゃらんぽらんではあるけど、結構優しいところがあり、好感が持てます。

(2)段階。20年の間に彼に一体何があったのでしょうか。いきなり政府の高官です。本人と妻の出会いから別れ、そして秘書との微妙な関係が話の軸。主人公とその秘書は「ラブ・アクチュアリー」のヒュー・グラントとマルティン・マカッチョンをイメージして読みました。何となく似てます。何も不倫していたわけではなく、妻とはちゃんと愛し合っていて本当に幸せそうです。それだけに最後が悲しい。誰も非難できない気がして、やるせなかったです。

(1)段階。押しも押されぬ立派な大統領です。政治をめぐる陰謀が関わっているので、話は一番複雑。混乱する国内情勢に苦慮しながらもちゃっかり恋愛したりしてますが、最後に思いもかけないひねりが・・。

三つの話はほとんど関係なく進みながらも話の所々ではつながり、そして最後には鮮やかにリンクします。かなり意外ではあったけど、いい方に期待を裏切られました。エピローグはやや不気味ながらも、基本的には幸せな終わり方で、かなり満足しました。
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by chirimendonnya | 2006-11-19 16:45 | 小説