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by chirimendonnya
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カテゴリ:読書色々( 12 )

先週の『世界ふしぎ発見』ですっかり興味を持ったアンデルセンの伝記本です。図書館の児童書コーナーにあったものを大して確認もせずに借りてきたので、あとでぱらぱらめくってみて「字が大きい+ふりがなつき」に予想以上に対象年齢が低かったかなーとちょっと不安になりました。でも、早く読み終われていいかと早速読むことにしました。

作者のルーマ・ゴッデンは映画化された作品もいくつもあるという英国人作家。そのせいか、普通の子供向け伝記とは大分違います。子供向け伝記というと都合の悪い部分は省いて、いかにその人物が偉大だったか、そして周囲は素晴らしい人ばかりだったかを印象づけることに終始しているものが大半です。ところが、この本はアンデルセン本人に対しても周囲の人に対しても容赦ありません。そのために人となりがより深く理解でき、そういう意味ではよい本です。また、アンデルセン本人作の切り絵、彼の友人、各地の地図などが多く収録され、見ても楽しい本でした。

アンデルセンの育った家庭は貧しかったものの、両親の愛情を受け、周囲からは浮いていたものの空想好きの良くも悪くも感受性豊かな少年として成長。14歳になった彼は母の反対を押し切って役者になる夢を抱き、首都コペンハーゲンにやってきます。もちろん、田舎育ちでろくな教育も受けていないひょろひょろした少年がそんなすぐに役者になれるほど世の中甘くありません。縁あって教育を受ける支援をしてくれる人が現れても、彼自身の詰めの甘い性格と無味乾燥な内容にちっとも勉強に身が入りません。不思議とスポンサー探しと金を借りるテクニックみたいなのがあってピンチになってもなぜか助けがさしのべられるので、貧しいことは貧しいけど意外に恵まれているのに、四の五の言い訳をしてさっぱり勉強しない青年アンデルセンには本当にイライラさせられました。これでキュリー夫人のように向学心に燃える若者だったら、もっと早くに成功を収めることが可能だったに違いありません。ロマンチストすぎるせいか、詰めが甘いところが多々あり、こういうタイプの人が生前からかなりの富と名声を勝ち得たことは多少不思議な感じもします。

読み終わってみると、やっぱり変わった人だとも思いました。でも、数々の辛い経験を乗り越えているだけに年を経るごとに深みを増していることが手に取るようにわかり、亡くなったときには国葬が行われたというのも納得できます。
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by chirimendonnya | 2005-06-26 19:12 | 読書色々
母が買ってきた本を私も読ませてもらいました。宮沢賢治作品の朗読などで知られる女優・長岡輝子の本人と姉妹のこれまでの人生の記録。著者はカバー折り返しのプロフィールによると、長岡輝子の文学座での後輩で『お話出てこい』などの放送台本を中心に執筆してきた人とのことです。

年齢の割に若々しい四姉妹(長女100歳 三女=長岡輝子95歳、四女88歳、五女83歳 いずれも撮影当時)がそろってほほえむ表紙が目を引きます。このうち、お姉さんは昨年亡くなられています。

長岡輝子の朗読会は前に行ったことがあって、そのときの印象は「上品でおばあさん」という感じでした。実際、「女優になりたい」といったら、「それじゃあ(日本での女優の地位は低いから)ロンドンに行って勉強してみたら?」とお父さんが言ったそうで、相当余裕のある暮らしぶりがうかがえます。ちなみにお父さんは英語の教科書の執筆者で、当時としては大変な高収入を得ていたということが文中にも出てきます。朗読会では穏やかな方に見えましたが、若い頃には相当突っ張った性格だったことがうかがえ、年月は人を丸くするんだなあと妙な感慨を感じてしまいました。

この本は年齢の順にそれぞれ4人の人生が語られています。他の三人は女優ではないもののそれぞれ興味深いエピソードがつづられていること、そしてもちろんご本人の人間的魅力でなかなか面白く読めました。

ただ、2点ほど気になるのことがあります。一つ目は認知症の老人についてずいぶんきつい言葉を使っていることです。そんなに何度も出てくるわけではありませんが、一般論的なことはもちろん、ご姉妹の身内の方に対しても一瞬どきりとするような記述があり、そのたび何ともいえない気持ちになりました。職業柄、そのようなお年寄りと日々接していますので余計気になる部分もあるとは思います。でも認知症だからといって全く駄目ということはないので、複雑な気持ちでした。

もう一つは親しい人を題材にしている本の宿命ともいえるものです。題材との距離が近すぎてバランスを失っている部分があるように感じました。最初はそうでもないけど、読み進むにつれて気になってきました。4人とも素晴らしい人生を送ってこられたということには同意しますが、ところどころ崇めるような感じになっているのはよくないです。なるべく客観的になるよう努力されたことが後書きからは伝わってきますが、なかなか難しいことです。
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by chirimendonnya | 2005-06-18 18:17 | 読書色々