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by chirimendonnya
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カテゴリ:ファンタジー( 35 )

『黄金の羅針盤』、『神秘の短剣』と続いた「ライラの冒険」もこれで終わりです。

あらすじ:
少女アーマは洞窟の中に住む女の所に毎日食べ物を届けている。この上なく美しいその女は、「娘」だという眠りっぱなしの少女と暮らしている。女のいうことを信じていながらも少女をかわいそうに思ったアーマは、眠りを覚ます薬を持って洞窟に忍び込む。そして、そこで女が嘘をついていたことを知ったのだった。

前読んだときに、二つの前作と比べて印象に残らなかった記憶がありました。本の厚さだけなら1.5倍位なのにどうしてだろうと思っていたら、色々なことをやろうとして話があちこちに飛んでいたせいだとわかりました。特に上巻。離ればなれになったライラとウィル両方の視点に加え、前作で登場したメアリー博士の視点も加わるために非常に散漫な印象を受けました。良くいえば壮大、神話的。悪くいえば欲張りすぎな感じです。そして、こういう神に挑戦するような筋の話は難しいと改めて思いました。たいがい、同種の話は世界観を広げすぎて追われなくなったり、小さくまとまってしまうことが多いので、その中ではしっかりまとまってる方だと思います。自分の中でいまいちなのは、きっと今までの展開やせりふ、記述で期待しすぎていたからでしょう、多分。

今回読むのは2回目なので、初読時には夢中になって読んだのに拒否反応を起こしてしまったり、登場人物の発言にしらけるところがあったのは残念。私にとっては3作全てが何度読んでも楽しめるというわけではないようです。ライラの性格は巻を追うごとに気にならなくなってきたけど、安易な発想と発言が多いのは相変わらずです。死者の世界についての考えは、子供らしくてかわいいかもしれないけど、一線を越えていて受け付けませんでした。あと、「ピンチになったら短剣で違う世界を開いて逃げればいい」というのも、短剣がそういう役割の品なのは確かであっても口に出して欲しくなかったです。気分がしらけます。

こんな調子でいまいち乗りきれなかった最終巻ですが、最後は好きです。超えてはいけないもの、本来守りたいものを主役二人に忘れさせず、安易なハッピーエンドにさせないのが良かった。余韻の残る素敵な最後です。最初の持ち上げられっぷりはどこへやら、最終巻ではうそつきなことで辛い思いをしたライラ、最後の場面では一皮むけたように思いました。続きも見てみたいと思います。
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by chirimendonnya | 2005-04-12 11:03 | ファンタジー
「ライラの冒険」の2作目、『黄金の羅針盤』の続編です。

あらすじ:
ある理由で警察に追われることになった少年ウィルは、心を病んでいる母親を知り合いの女性に預け、逃亡生活を送る。そして、謎の別世界に迷い込んだ彼は、そこで自分より少し年下の少女ライラと出会う。昔の人のようなことをいうライラは、ウィルの住む世界とも違う別の所からやってきたらしい。そして、ダイモンという変わった動物を持っている。お互いの背景や考えに戸惑いつつも、二人は共に行動することになる。

第2の主人公ウィルの登場で、物語のバランスがぐっとよくなりました。二人を並列して活躍させているので、前作ほどライラ、ライラとなることがありません。それに、かなり価値観や考え方が違うウィルと時々衝突することで、彼女自身も成長し、より魅力ある人物になっています。良い子ではないけれど冷静で行動力があるウィルは、冒険の相棒として丁度良いと思います。ストーリー自体も、ライラの持つ真理計に加え、ウィルが使い手となる短剣を巡り、追いつ追われつのスピーディな展開で目が離せません。

今回は、主に私たちの住む世界で話が展開しています。最初の出版から約10年経っているので、微妙な古さを感じる部分があるにしても、自動車が走る現代的な世界です。『黄金の羅針盤』を読んでいるとき、登場人物の発想や社交界がかなり古くさい物に思えました。特に「神」を過剰に意識するのは、それだけ強く信仰が人々の間に根付いているからこそ、だとも感じました。今回のウィルとライラの会話で、やはりライラの世界は50年、100年前の社会をモデルにしていることを強く感じました。例えば、こんな具合です。「女の子がズボンをはくなんてとんでもない」、「料理は使用人がするものよ」。ウィルが戸惑うのも無理はありません。

『黄金の羅針盤』では、子供をさらうゴブラーという集団が登場しました。今度は二人が迷い込んだ世界で大人を襲うスペクターという存在が登場します。そこに深く関わるのは、やはりダスト。この巻では、ダストについてかなり詳しく語られます。そして、どのように決着するか強い興味を持たせながら、次へと続きます。
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by chirimendonnya | 2005-04-02 15:50 | ファンタジー
「ライラの冒険」(原題 His Dark Materials)三部作の第1作目です。

あらすじ:
オックスフォード大学のジョーダン学寮に住むライラは11歳の元気な女の子。街の子供達やジプシャンの子供達と”戦争”をしてみたり、大人達にいたずらを仕掛けたりと忙しい日々を過ごしている。しかし、叔父のアスリエル卿がオックスフォード大学に帰還するのと前後して、街には異変が起こり始めていた。子供達が次々とさらわれるのだ。
ジョーダン学寮を離れて、コールター夫人という謎めいた美女と暮らすようになったライラは、思わぬきっかけから犯人の正体を知ることとなり、子供達を助ける旅に加わる。

舞台は私たちの住む世界と似ているようで少し違う世界。人間達は”ダイモン”という守護動物と一生を共にします。主人公ライラと彼女の相棒パンタライモンの楽しいやりとりが、ダークトーンの物語にアクセントを与えています。

実は以前に一度読んだのですが、三冊一気に読んでみたいと文庫化を気にそろえました。読むのが2回目ともなると、良くも悪くも前には気づかなかったことに気づくようになります。私にとっては、悪い要素が色々気になってしまい、あまり話に没頭できませんでした。

その一つが登場人物のほとんどの「ライラ、最高」状態。もともと彼女をあまり好きではないので、そのせいもあると思います。とにかく、知恵と勇気もあるけれど小ずるく図々しい子をみんなしてよく言いすぎ。ライラ賞賛の言葉が出る度、気持ちがさめるのを感じました。特に上巻はその傾向が強いです。

下巻になると、世界観とストーリーテリングの面白さがより前面に出てくるので、面白くなります。そして、ライラにとっては気の毒な幕切れ。あんまり書くとネタばれになるのでやめますが、少なくとも私にとっては世界観とストーリー、そしてダストの謎がこの作品の魅力です。

この作品の一番のキーとなる「ダスト」の謎は、結局解明されず。というより、作中で説明されればされるほどわからなくなります。最初読んだときは、ただただ話の面白さに見せられていましたが、今回はダストの奥深さもじっくり味わいたいと思います。
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by chirimendonnya | 2005-03-29 21:04 | ファンタジー
3部作の最終巻です。締めくくりにふさわしい内容になっています。

あらすじ:
裏切りにショックを受けながらもどうしても見捨てられず、ジュニパをつれて地獄から脱出したメルレ。苦難はこれで終わりではなく、もっとつらい出来事が彼女を待っていた。

前巻でためをしっかり作っておいて、みごとに完結しました。全ての謎が解き明かされ、諸悪の根源となっていたものも滅び、世界は再び平和を取り戻します。しかし、解決法が残酷な上、ちょっととってつけたように感じたので、やや複雑な気分です。ハッピーエンドでないから悪いのではなく、もう少し納得できる形を望みたかったです。「愛のために」といえば聞こえはいいけど、ちょっとやりきれません。

少し納得できないところはありますが、シリーズ通してとても面白かったです。豊かなイメージを駆使し、全くの架空の世界なのに風景が目に浮かぶようでした。はらはらさせながらも、落ち着いたストーリー運びはなかなかのものです。
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by chirimendonnya | 2005-03-01 14:08 | ファンタジー
3部作の2作目です。

あらすじ:
メルレは自分の体内に宿った水の女王、黒曜石のライオンとともに一路エジプトへ。道中、謎の存在「冬」と出会う。
一方、ベネチアでは復活したエジプト王アメンホテプ王が圧政の限りを尽くしていた。反乱軍に加わったゼラフィン達の運命はいかに。

3部作の真ん中ということで、”ため”の巻です。正直、メルレと水の女王、ライオンの道中はあまり楽しくないです。メルレは親友ジュニパやゼラフィンといるときの方が気持ちが入っていると思います。謎の存在「冬」など、興味を引かれる部分もありますが、地獄にたどり着くまでは少し退屈しました。地獄について初めて、話が大きく動き始めます。謎が解き明かされはじめ、いやでも次が気になります。

さて、この作品では多くの固有名詞が実在のものから取られています。その固有イメージをうまく使いつつも、誰も見たことのない新たなイメージを創造しているのも魅力の一つです。中でも魅力的なのがスフィンクス。本来は上半身が人間で下半身がライオン。ここでは、魔力で普通の人間の姿になることもでき、作中で大きな役割を果たします。
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by chirimendonnya | 2005-02-28 08:11 | ファンタジー
ベネチアを舞台にしたファンタジーの開幕です。

あらすじ:
舞台はベネチア。水の女王のご加護のもとで繁栄していたが、最近はエジプト軍の侵攻に悩まされている。孤児院育ちの少女メルレは、同じような生い立ちで目の見えない少女ジュニパと一緒に鏡職人アーチンボルトのところで働くことになった。着いてすぐ、ジュニパはアーチンボルトによって眼球のあった場所に不思議な鏡を埋め込まれ、目が見えるようになる。あまりに奇異な外観に喜びつつも戸惑うメルレ。二人はそのうち否応なく混乱に巻き込まれることになるが・・・。

三部作の第1作目。実は、以前読んでいたのですが、ずいぶん間隔を置いて2作目の『~光る石』を読んだら、訳がわからなかったので再読です。○部作と銘打ったものは、1冊ずつ読んでも不都合のないものとあるものとありますが、これは間違いなく不都合のある方に入ります。記憶力抜群という人以外は、一気読みした方がよいでしょう。

ベネチアを舞台にしているといっても、実際の世界とはほとんど関わりがない架空の世界で展開されます。ベネチアという町はファンタジー作家のイマジネーションがわく都市らしく、これ以外にもいくつかの作品で舞台となっています。確かに、船で移動する都市は他にそうそうないし、とてもロマンチックな町ではあります。

最近のファンタジーの中では、落ち着いたじっくりした展開。かなり奇想天外な設定と展開にもかかわらず、地に足が着いた描写と進行で読者を引き込みます。数々の謎、友情、淡い恋など色々な要素が詰まっていて上々の幕開けです。
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by chirimendonnya | 2005-02-27 16:29 | ファンタジー
本当は母が借りてきたのですが、一向に読む気配がないので、先に読みました。映画は前に見たことがあるけれど、本を読むのはこれが初めてです。

あらすじ:
とある田舎町の円形競技場に不思議な少女が住みついた。彼女の名前はモモ。話を聞いてあげるだけで相手をを幸せな気持ちにする彼女の周りには、老若男女問わずたくさんの人が集まった。しかし、人の心の隙をついてだまし、時間を奪い取る”灰色の男達”が現れて、生活は一変。人々は余裕を失い、モモは徐々に孤独になる。

ちょっと今更って感じはするのですが、30年以上各国で読み続けられているだけあって素晴らしい作品です。あまりの面白さに何日間かかけて読むつもりが一日で読み終わってしまいました。

時間や創作についての部分はものすごく説教くさく感じるときもあります。でも、一つ一つが納得できることで、反省させられたり考えたりすることが時々ありました。極端にパロディ化することなく、「ある、ある」と、つい頷きたくなるリアリティある描写だからこそだと思います。次々と客をさばくことに一生懸命で対話のない店、店員をせかす客、生活に追われて余分なことは考えずあくせく働く人々。誰もが体験していることです。一つヒットが出ると次々と同じような作品ばかり。しかも少したつと忘れられてしまう。疑問を感じたことのない人の方が、少ないのではないでしょうか。『時間』を奪われた人も世の中も汲々として、全然魅力がありません。便利なことって素晴らしいけど、それだけではいけないな、と改めて思いました。

ふしそれだけにマイスター・ホラのいる世界の美しさが際だちます。どれもきれいだけど、一つとして同じ花がないというのは、誰もがもともと素晴らしい花を心に咲かせているということですよね。それを育てるのも枯らすのも自分次第。よい心がけをしたいものです。

最後に映画に少し触れたいと思います。見たのがかなり昔で、細かいことは忘れましたが、読んでいるときモモはずっとあの映画の女の子が浮かんできました。普段は本は本、映画は映画で違うイメージで読むので、こういうことは自分には珍しいです。他のシーンも映画の場面を思い出すことが、よくありました。よくできていたんだと思います。
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by chirimendonnya | 2005-02-19 13:54 | ファンタジー
あらすじ:
『ハーメルンの笛吹き』の後日談。実は全ての子供がいなくなったわけではなく、二人の子供が町には残されていた。そのうちの一人、11歳の誕生日に聴力を失った少女ペネロピーが不思議な力を使って子供達の救出に向かう。

話は101歳になったペネロピーの現在と11歳の時の回想が交互に語られる形で進行します。現在の話、回想の中での冒険それぞれが最後にきっちりと決着します。

11歳の時の冒険は、いかにもおとぎ話という感じで夢があります。童話の後日談としては、なかなか素敵です。一緒に旅する猫、竜なども個性豊かで楽しく読めました。ただ、自分がこれまで笛吹男に持っていたイメージとこの話での笛吹男は大分イメージが違ってちょっとショックでした。

現在のペネロピーは、ちょっと偏屈だけど有意義に年を重ねてきた人の深みがあり、なかなか素敵なおばあさんです。自分の年齢について語る部分はいちいち説得力があります。でも、最後については、ちょっと不満を感じました。誰でも自分の果たすべき役割があり、ものによっては人を変え連綿と受け継がれていくというのはわかるんだけど、彼女が自分の跡継ぎにしたことはなんだかエゴを感じてしまい、ちょっと納得できません。あまりにいきなりの展開に感じたので、もうちょっと納得できる何かが欲しかったです。
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by chirimendonnya | 2005-02-06 11:42 | ファンタジー
あらすじ:
赤字がかさみ、経営難の魔術師大学。そこにいずれも多額の寄付をねらえそうな新入生が6人入学することになった。保護者に寄付のお願いを出そうとする学長だが、いざ入学してみると全員訳ありでとても寄付なんてしてもらえそうにない。ストップをかけようとしたのだが、すでに手紙は出されてしまった後だった。手紙がきっかけで困ったお客さんが次々とやってくるのだが・・・。

『ダークホルムの闇の君』の続編。読んでいて前作からの登場人物の成長ぶりに目を細めそうになることがありました。といっても直接話がつながっているわけではないので、これだけ読んでも十分楽しめると思います。

前作よりも100ページ近く短いせいか最初から最後まで退屈することなく読めました。6人の学生がいずれも個性豊かで、なおかつ憎めないタイプだということも関係しているかもしれません。

単に楽しい魔法スクールコメディというだけでなく、現実の大学を風刺している部分、学問の意義を問う部分もあり、考えさせられるところもあります。理論や意義をとばして小器用に立ち回れる実際的な技術だけ学べばいいというのは、学ぶものが何であれ奥の深い学問とはいえません。一見役立たないように見えるものが、一段高いものを生み出す力になるからです。
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by chirimendonnya | 2005-02-04 08:22 | ファンタジー
昨日は、暗いことをつらつら書いてしまいましたが、今日はいつも通りの読書日記です。

あらすじ:
魔法の世界は、チェズニー氏率いる観光協会主催の”巡礼”ツアー客でいつもにぎわっている。ところが、お客のニーズに応えて戦争をはじめとする色々なイベントをやっているので、土地も人の心も荒れ放題。”巡礼”が倒すべき敵『闇の君』もなり手がいない。運悪く闇の君に選ばれてしまった魔術師ダークは、準備は思い通りに進まないわ、家庭はぎくしゃくするわで始まる前から疲労気味。

テーマパークやRPGを皮肉ったユーモア・ファンタジー。このユニークな設定で冒頭場面は引き込まれます。でも、著者の作品はそういうこと多いけど正直全体の3分の2くらいまではちょっと退屈でした。ツアー準備に当たってのドタバタが延々と繰り広げられ、いつになったら本編にはいるのかしら、という感じです。

主人公の息子が案内役を務めるグループが登場すると、一気に面白くなりました。ドタバタには変わりないけれど、この人ならではの個性的な登場人物達とメリハリのきいた展開でずんずん読み進めることができました。

観光客にとっては夢の国でも、労働条件が過酷すぎる上にマニュアル厳守の魔法世界の人には地獄な訳で、このあたりテーマパーク関係者でなくとも考えさせられるところがあります。
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by chirimendonnya | 2005-02-02 14:23 | ファンタジー