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by chirimendonnya
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3部作の2作目です。

あらすじ:
メルレは自分の体内に宿った水の女王、黒曜石のライオンとともに一路エジプトへ。道中、謎の存在「冬」と出会う。
一方、ベネチアでは復活したエジプト王アメンホテプ王が圧政の限りを尽くしていた。反乱軍に加わったゼラフィン達の運命はいかに。

3部作の真ん中ということで、”ため”の巻です。正直、メルレと水の女王、ライオンの道中はあまり楽しくないです。メルレは親友ジュニパやゼラフィンといるときの方が気持ちが入っていると思います。謎の存在「冬」など、興味を引かれる部分もありますが、地獄にたどり着くまでは少し退屈しました。地獄について初めて、話が大きく動き始めます。謎が解き明かされはじめ、いやでも次が気になります。

さて、この作品では多くの固有名詞が実在のものから取られています。その固有イメージをうまく使いつつも、誰も見たことのない新たなイメージを創造しているのも魅力の一つです。中でも魅力的なのがスフィンクス。本来は上半身が人間で下半身がライオン。ここでは、魔力で普通の人間の姿になることもでき、作中で大きな役割を果たします。
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by chirimendonnya | 2005-02-28 08:11 | ファンタジー
ベネチアを舞台にしたファンタジーの開幕です。

あらすじ:
舞台はベネチア。水の女王のご加護のもとで繁栄していたが、最近はエジプト軍の侵攻に悩まされている。孤児院育ちの少女メルレは、同じような生い立ちで目の見えない少女ジュニパと一緒に鏡職人アーチンボルトのところで働くことになった。着いてすぐ、ジュニパはアーチンボルトによって眼球のあった場所に不思議な鏡を埋め込まれ、目が見えるようになる。あまりに奇異な外観に喜びつつも戸惑うメルレ。二人はそのうち否応なく混乱に巻き込まれることになるが・・・。

三部作の第1作目。実は、以前読んでいたのですが、ずいぶん間隔を置いて2作目の『~光る石』を読んだら、訳がわからなかったので再読です。○部作と銘打ったものは、1冊ずつ読んでも不都合のないものとあるものとありますが、これは間違いなく不都合のある方に入ります。記憶力抜群という人以外は、一気読みした方がよいでしょう。

ベネチアを舞台にしているといっても、実際の世界とはほとんど関わりがない架空の世界で展開されます。ベネチアという町はファンタジー作家のイマジネーションがわく都市らしく、これ以外にもいくつかの作品で舞台となっています。確かに、船で移動する都市は他にそうそうないし、とてもロマンチックな町ではあります。

最近のファンタジーの中では、落ち着いたじっくりした展開。かなり奇想天外な設定と展開にもかかわらず、地に足が着いた描写と進行で読者を引き込みます。数々の謎、友情、淡い恋など色々な要素が詰まっていて上々の幕開けです。
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by chirimendonnya | 2005-02-27 16:29 | ファンタジー
原題『Charlie and the Chocolate Factory』。洋書で読んでもいいけど、ちょっとだるかったので、翻訳版で。ロアルド・ダールのもっとも有名な作品で、近々2回目の映画化(監督:ティム・バートン、ジョニー・デップ他出演)も決定しています。

あらすじ:
世界一おいしいワンカ氏のチョコレート工場。でも、ここ10年誰も工場に出入りする人を見たことがない。そんなある日、世界でたった5人だけ工場に招待されることになった。チョコレートのパッケージを開けてみて金色のチケットが入っていたら、当選だ。かくしてチケットを手に入れるための買いだめ競争が始まったのだった。結果、4人までが大金持ちの子供で決定した。残りの1枚は・・・とっても貧しい家の子供チャーリーの手に。さて、5人の子供と付き添いの大人達はどんなものを見るのか。

正直、チャーリー以外の子供達への仕打ちはブラック過ぎてついて行けない部分もあったのですが、最後みんな無事だったのがわかったので救われました。あそこまでひどい目に遭えば本人家族ともに、ちょっと反省したでしょう。教訓を生かしてまともに成長することを祈ります。

時々、ストレートすぎるくらいストレートなメッセージが盛り込まれています。でも、読み終わってみるとそんなに気になりません。あまりに奇想天外でカラフルで楽しいせいでしょうか。チョコレート工場の中については、色々と想像を巡らせていたのですが、想像を超えていました。次々と繰り出されるおいしそうなお菓子と風景にノックアウトです。文章でもこんなに素敵なんだから、映像化されたらどんなに素敵なんでしょうか。わくわくします。

全ての要素が極端(だから、駄目な人は駄目な作品だと思います)なのに、その全てが絶妙なバランスのとれた作品です。それでいて、押さえるところは押さえていて読後感は爽やかでした。これって、ダールの術中にはまってしまったということですよね。本当にすごい作品です。
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by chirimendonnya | 2005-02-26 20:18 | ヤングアダルト

下妻物語

あらすじ:
ロリータファッションに身を包んだ極甘の外観に似合わずしょっぱい性格の桃子は、洋服代欲しさにしたことをきっかけにヤンキーのイチゴと出会う。センスも性格も全然違う二人だが、徐々に友情を深めていく。

何だかすごくいいらしいとは聞いていたけれど、期待以上の作品でした。主役二人のファッションセンスからはほど遠い私ですが、すごく楽しめました。いい意味で馬鹿馬鹿しくて大満足です。約100分があっという間に過ぎました。前半は、爆笑(と言っていいと思う)漫才で笑わせ、後半熱く盛り上げます。

見始めてすぐに超田舎をフリフリワンピースの女の子が歩くというギャップがおかしくて笑ってしまいました。もう、見ていてよくぞここまでと感動すらしてしまう漫画チックさと馬鹿馬鹿しさです。ちょっと『少林サッカー』に通じるものがあります。漫画チックとはいっても見られる映画として完成させるのは、結構大変だと思うので、監督はセンスのある人だと思いました。

キャストは主演の深田恭子(桃子)と土屋アンナ(イチゴ)をはじめ、結構豪華で得した気分です。しかも、主役の二人を含めて「この人違うよ」と思う人が全然いませんでした。。特に深田恭子は今回見直しました。今までかわいいけど下手程度にしか思っていなかったけど、ロリータファッションが似合う外見、甘ったるい雰囲気はもちろん、妙な距離感やクールさが良かったです。何ともいえない独特さ、見せ場での普段とのギャップが役にあっていました。

他人に無関心で独特の意識を持っていた桃子が、少しずつ心を温かくしていくのがいいです。友情にドラマチックに目覚めさせるのではなく、なんてことはないことの積み重ねで段々イチゴに情を移していくのがわかります。今まで自己中心的だった自分が他人を大事に思うようになるなんて恥ずかしいと思いつつ、友情を感じる過程が意外に丁寧に描かれています。だからこそ、最終盤に気恥ずかしいくらい熱い展開になってもうっとうしく思うどころか、説得力があったと思いました。
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by chirimendonnya | 2005-02-25 09:38 | 映画
あらすじ:
なぜ、どういうきっかけがあって自分の臨死体験があのような形をとるのか?理由を求めて奔走するジョアンナ。そんな彼女の身に誰も予想していなかった事態が訪れる。

下巻は第二部の後半と第三部全てが収録されています。ぐんぐん面白くなっていた一部後半からの流れで、分厚いページ数も全く苦になりませんでした。

ジョアンナの臨死体験のイメージが本人すら驚く唐突なもので、理由を突き止めようとあちこち奔走する箇所は特に面白かったです。高校生の時の授業がきっかけらしいとはわかっていても、卒業からすでに10年が経過。手がかりがろくすっぽ残っていません。わらをもすがる思いでわずかな手がかりに賭け、少しずつですが全体像が見えてくるというのが良かったです。

この本の特徴は、いかにも思わせぶりな部分はもちろん、一見どうでも良さそうなことが後々重要な複線となっているところです。くどい、くだらないと感じていた描写が後であるものを象徴するものだとわかって、驚かされることが何度もありました。もちろん、複線らしい複線は全て回収されます。普段そんなに複線回収にこだわらない方ですが、作者の手腕に感服しました。

個人的に印象に残っているのは、主人公ジョアンナの行動。彼女はかなりせっかちで、自分の都合最優先。話の途中でも「今、忙しいから」と、相手を振り切って次の場所に向かっていきます。いくら場所と職業柄の上とはいえ、いくら何でもひどいと何度も思いました。ところが、いざ”予期せぬ展開”になってみると、それすらも急ぎすぎた彼女の人生の象徴という気がしてきます。

さて、この本は一応「泣ける」(訳者談)という触れ込みですが、その点についてはあまり期待しない方がいいです。私は、結末そのものには納得しているし、好きですが、それはちょっと言い過ぎ。後書きを先に読むタイプの方は、期待は禁物です。それをあまり意識しなければ、一種の達成感と幸福の予兆が感じられる幕切れで、なかなかいいと思います。
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by chirimendonnya | 2005-02-22 08:51 | 小説
昨年の『犬は勘定に入れません・・・あるいは消えたヴィクトリア朝花瓶の謎』のヒットも記憶に新しいコニー・ウィリスの作品です。最近、文庫も出ました。この上巻だけで413ページ、しかも2段組なので、時間があるときにお勧めします。

あらすじ:
認知心理学者のジョアンナは臨死体験を科学的に検証しようと試みている。そんな彼女にとって、臨死体験をスピリチュアルな体験と決定づけたがっている「トンデモ系」作家・マンドレイクは天敵だ。何かと自分を仲間に加えたがっている彼からは、あの手この手で逃げまくっている。
 ある日、新任の神経内科医リチャード・ライトから、研究のパートナーに誘われる。同じ志を持つ彼との研究に燃えるジョアンナ。しかし、応募した被験者はいずれも問題有りで、思うように進まない。業を煮やした彼女は、ついに自分が被験者になると言い出した。


上巻は決してキレのいいところで終わっているわけではないし、ちょっと迷いましたが、この巻だけの感想というのもそれなりに意義があるかと思い、取り上げることにしました。この本は3部構成になっていて、大体上のあらすじの内容までが第一部です。上巻には第一部と第二部の途中までが入っています。

前に『ドゥームズデイ・ブック』を読んだことがあって、どういう風に話を進めていく作家かというのはわかっていましたが、一部は途中までなかなか読み進みませんでした。最初の方で登場人物の個性や出発点のエピソードを綿密に描いて、それが後の方で見事に活かされるというのが、特徴なんだとは思います。でも、とにかく話が進まないし、登場人物の大部分には魅力を感じないしで、少しつらいものがありました。災害マニアの少女メイジーだけは別です。病気のせいかちょっとませているけど、ユニークでいじらしい女の子です。

やはり面白くなるのは主人公のジョアンナが被験者になり始めてからです。実験自体は、本のアオリほどには危険のないものに感じましたが、「百聞は一見にしかず」ということでしょうか。読み手の側にも臨死体験の実態が迫ってくるようになりました。

そして、二部になるともう止まりません。なぜ、ジョアンナのイメージは某有名客船のイメージをとるのか?勝手に話を作ってしまっているのか、それとも?それはまた明日。
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by chirimendonnya | 2005-02-20 11:48 | 小説
本当は母が借りてきたのですが、一向に読む気配がないので、先に読みました。映画は前に見たことがあるけれど、本を読むのはこれが初めてです。

あらすじ:
とある田舎町の円形競技場に不思議な少女が住みついた。彼女の名前はモモ。話を聞いてあげるだけで相手をを幸せな気持ちにする彼女の周りには、老若男女問わずたくさんの人が集まった。しかし、人の心の隙をついてだまし、時間を奪い取る”灰色の男達”が現れて、生活は一変。人々は余裕を失い、モモは徐々に孤独になる。

ちょっと今更って感じはするのですが、30年以上各国で読み続けられているだけあって素晴らしい作品です。あまりの面白さに何日間かかけて読むつもりが一日で読み終わってしまいました。

時間や創作についての部分はものすごく説教くさく感じるときもあります。でも、一つ一つが納得できることで、反省させられたり考えたりすることが時々ありました。極端にパロディ化することなく、「ある、ある」と、つい頷きたくなるリアリティある描写だからこそだと思います。次々と客をさばくことに一生懸命で対話のない店、店員をせかす客、生活に追われて余分なことは考えずあくせく働く人々。誰もが体験していることです。一つヒットが出ると次々と同じような作品ばかり。しかも少したつと忘れられてしまう。疑問を感じたことのない人の方が、少ないのではないでしょうか。『時間』を奪われた人も世の中も汲々として、全然魅力がありません。便利なことって素晴らしいけど、それだけではいけないな、と改めて思いました。

ふしそれだけにマイスター・ホラのいる世界の美しさが際だちます。どれもきれいだけど、一つとして同じ花がないというのは、誰もがもともと素晴らしい花を心に咲かせているということですよね。それを育てるのも枯らすのも自分次第。よい心がけをしたいものです。

最後に映画に少し触れたいと思います。見たのがかなり昔で、細かいことは忘れましたが、読んでいるときモモはずっとあの映画の女の子が浮かんできました。普段は本は本、映画は映画で違うイメージで読むので、こういうことは自分には珍しいです。他のシーンも映画の場面を思い出すことが、よくありました。よくできていたんだと思います。
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by chirimendonnya | 2005-02-19 13:54 | ファンタジー
昨年、最年少で芥川賞を受賞して話題になった著者の処女作です。気になっていたので、図書館で借りてみました。

あらすじ:
何となく学校に行かなくなった女子高生・朝子は、妙にできた小学生の男の子と知り合う。そんな二人がおんぼろパソコンで始めたのは、なんと風俗チャット。

読み始めてすぐにないように引き込まれ、手がとまらなくなるというよりは、いつか面白くなるんだよね、と、じれったくなりながら読みました。そもそも本題の風俗チャットを始めるまでに半分くらいかかります。で、始めてからもすごく面白いという感じではありませんでした。画面を通してチャット相手の分析をするところは面白かったけれど、その他は「ふーん」という感じ。最後も大体予想通りで、特に意外性もない感じです。もう少し、結末がしっかりしていれば、違った感想を持ったと思います。読者の推測にまかせるにしても、もう少し何か欲しかったです。主人公のけだるさとか結末の時の気持ちはよくわかるし、いい部分もあるけど、ちょっともの足りませんでした。期待が大きすぎたかもしれません。
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by chirimendonnya | 2005-02-18 18:31 | ヤングアダルト
さて、いよいよ『DIVE!!』も最終巻です。

あらすじ:
待ちに待ったオリンピック代表選考会。それぞれの持ち味を活かし、順調にこなしていく知季と飛沫。一方、大本命と見られていた要一は調子が出ない。いったいどの選手がオリンピック代表に決定するのだろうか?

巻ごとに主人公が変わるという趣向だったこの作品、最終巻はこれまで出てきた色々な登場人物の視点で展開されます。それこそ、「え、彼のことも?」と思うような脇役までも、心情が語られています。それによって「結果」は色々だったけど、全く報われないということはないんだな、と改めて思いました。読み終わって、すごく爽やかな気持ちです。結末も考え得る限りで一番幸福な形で、私は満足です。

最後きれいに終わっているけれど、ちょっとその後の展開が期待できる形だったので、もう少しあってもいいかな、と思いました。でも、あまり続けすぎるとダメになることは色々な作品で証明済みなので、こう思うくらいで丁度いいのかもしれません。
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by chirimendonnya | 2005-02-17 18:09 | ヤングアダルト
”飛び込み”が題材の青春スポーツドラマ、第3巻です。

あらすじ:
早々にオリンピック代表に選ばれた要一。周囲からの羨望の目、CM出演の依頼・・・、彼の毎日はにわかに慌ただしくなった。それなのに、気分がちっとも盛り上がらない。あんなに夢見たオリンピックなのに、選考方法に疑問を感じるのだ。ついに要一は、誰も予期していなかった行動に出る。

今回の主人公は要一。メインになる3人のうち、心技体ともにもっとも完成されている選手です。今回は、一流選手になるために多くのものを切り捨ててきた彼の内面と意志の強さを知ることができ、その孤独に胸が痛くなりました。それだけに主人公には向かないと思っていたので、ちょっと意外。読み終わってから、これまでの2冊には感じなかった無理矢理感を感じました。やっぱり、ドラマが作りにくかったのか、展開に釈然としないものを感じました。相変わらず、次が気になる展開には変わりないけど、少し落ちる感じです。

キーパーソンとなる人物に現実感がないというか、あのような社会的地位を持つ人があんなに物わかりいい人なら、世の中楽です。いくら相手がしっかりしていても、話を穏やかに聞く、というのはちょっと違和感を持ちました。それまで、さんざん怪物めいた描写をしているのに、あれでは単なる物わかりのいいおじさんです。なんだかしらけてしまいました。要一の青さや熱さは説得力があったので、対決する相手にもそれ相応のリアリティがあればよかったと思います。
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by chirimendonnya | 2005-02-16 08:50 | ヤングアダルト