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by chirimendonnya
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<   2006年 10月 ( 7 )   > この月の画像一覧

あらすじ:
平凡な専業主婦チエミ。職場の先輩だった白川さん宅でのホームパーティに参加したこと、彼女からサッカーW杯のチケットをもらったことをきっかけに日常にほんの少しずつ変化が生まれる。チエミはホームパーティで知り合った同年代の男性と、熱狂的なサッカーファンの夫はW杯会場で知り合った若い女の子と微妙な関係になるかもしれない・・・。


この作品でのW杯は今年のものではなく4年前の日韓大会です。

主人公のチエミのバックグラウンドについては結構詳しく書かれています。女子大に通い、何となく居心地のいい職場に勤めたけど「そろそろ子供を」という周囲の声と当時若干体の不調があって退職したこと。今思い出すとちょっと恥ずかしい恋を学生時代にしたこと。そうとはっきり書かれてはいないけど、性格はどちらかといえば物静か、まあまあ気の利く社交性のあるタイプです。見た目も小綺麗にしている平均的な30代女性であろうことが何となくうかがえます。明るくのんきな高校教師の夫、元気な姑の描写も相まって本当にどこにでもいそうな女性です。

それがこの題名と揺れる心情の描写で、もしかしてドラマのヒロインみたいに・・・と読み手を期待させる作品です。そして、こちらが「よし、いよいと」と思うと斜めにそれていってしまうストーリーです。最後には「そう来たか」とちょっと脱力してしまいました。でも、平凡な人の平凡な日常にもそれなりのドラマはあるよな、と改めて感じ、妙にすがすがしい気持ちになりました。
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by chirimendonnya | 2006-10-29 19:10 | 小説
”ふくろうの本”シリーズの本です。
モノクロ、カラー含めて多くの図版が多用されています。
古代から19世紀までのヨーロッパの海賊の歴史がなかなか面白く語られています。
ヴァイキングや有名なフランシス・ドレイクなどの意外な一面を知ることができました。

特に、アルマダ海戦前夜のイギリス海賊とスペイン海軍の部分は読み応えがあります。
どうも世界史の教科書などでは新興国イギリスがいきなり当時の最強国スペインを
破ったように感じられます。でも、事前に色々な応酬があって
それなりの必然性を持って勝利したのだという側面を知ることができました。

海賊は基本的に日陰者ですから、ヨーロッパ史の表舞台に登場することは
あまりありませんが、有名な海賊は面白いエピソードを持つ人ばかりで
なかなか面白い本でした。
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by chirimendonnya | 2006-10-24 22:31 | 読書色々
あらすじ:
 ジョン・マンドレイクことナサニエルは17歳にして、遂に情報大臣にまで上り詰めた。黒いスーツでばっちり決めて女性からの視線も熱い。一方、ナサニエルに召還されているジン・バーティミアスは二年間こきつかわれ、体はぼろぼろ、愚痴はタラタラ。
 首相の信任も厚いナサニエルだが、バーティミアスを使ったある事件をきっかけに足下が揺らぎ始める。何とか窮地を脱しようとするが・・・。


3部作の最終作。後書きから本を読む方、是非最初に訳者あとがきを読んでください。そしてうんと期待して読んでください。決して期待を裏切らないラストが待っています。あまりの絶賛ぶりにかえって怪しんでしまいましたが、その言葉にも納得がいく最後です。大風呂敷を広げながら進む物語は特に最近多いですが、その中でも綺麗に終わっている部類に入ると思います。やや物悲しいけれども、余韻のある素敵なラストです。もちろんラストだけでなく、話も3作の中で一番面白いです。設定、ストーリー共にかなり凝っていて630ページあっても退屈しません。

SF的な要素も取り入れながらすすみ、下手すると読者は置いてきぼりを食らうか、馬鹿馬鹿しく思ってしまいますが、妙な説得力があり、不自然に感じることはありませんでした。奇想天外の不思議を映像で見てみたい気がします。

設定、話だけでなく主人公ナサニエルの成長ぶりも見所の一つです。これまでは単なる性格の悪い奴としか思っていなかったし、本人の思っているとおりに出世してきたこともあって全く共感できませんでした。それが政治上の立場でも人間関係でも窮地に立たされ、迷い、弱さが出てきます。彼が自分の得てきたものの代わりに失ったものの大きさを実感する場面ではちょっと涙が出そうになりました。そうした感情を体験することにより、こまっしゃくれた子供から立派な青年に成長する過程が見事です。それがなかったら、最後の感動も半減していたことでしょう。

縦21センチ横15センチ、おまけに全部で638ページ。通勤中の電車で読んでいたので、毎日何だか筋トレしているような気分でしたが、それだけの価値はありました。
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by chirimendonnya | 2006-10-23 20:46 | ファンタジー
あらすじ:
しゃらくさい都会のもやしっ子・優は突然、母と一緒にど田舎にある父の実家に引っ越すことになる。転校した先の学校は、なんと分校で同級生はたったの3人。しかもそのメンバーと来たら・・・。少人数ということもあり、クラスメイトは優をかまうが、プライドの高い彼は3人を見下すばかり。その態度のせいで忘れたかった秘密がばれてしまう。


かなり終盤まで読み進んでNHKでやっていたドラマスペシャルの原作だということに気づきました。主人公のお母さん役が天海祐希だったことと終盤の物語展開は良く覚えています。読み始めてすぐに気づかなかったのは題名を覚えていなかったのと登場人物のキャラクターの濃さが原因です。

まず主人公の優。レベルの高い私立校に通い、東大を出、一流企業に就職することを夢見、偏差値以外に興味がない、そんな夢のない夢を見る少年。彼の一人称で話が進むのですが、その口調が全くしゃらくさくていやみ。かなりの期間、あの人を見下した態度に我慢したクラスメイトの3人がすごい人格者に思えます。

その3人も何らかのコンプレックスや心のキズを抱えています。だから人の痛みがわかり、それぞれうまくやっていけるのかもしれません。三者三様、人柄になかなか魅力があります。

優にはサル呼ばわりの作ちゃん。彼は唯一の時も地元っ子で家が碁会所をやっている自称”情報通”。分校には当然最初からいます。その次にやってきたのが一見美少女、しかし実は・・の一ノ瀬ヒカル。三番目にやってきたのが大きなマスクの暗い女の子・宮下まゆ。この3人が優のクラスメイトです。

作ちゃんはいかにも田舎のガキ大将風の子だし、勉強もさっぱりなので優はぼろくそにいってるけど、いくらポリシーとはいえ、一癖もふた癖もある他の二人を受け入れられたというのはすごいことで、そういう意味では人格者といえます。

次に見た目は完璧な美少女のヒカル。家が横浜なのに分校にやってきた彼女には重大なわけがあるのですが、あくまでポジティブ、そして自分が大変なときにも気配りを忘れない(ここは優も認めている)のは、なかなか立派です。

そして最後に見るからに暗い宮下まゆ。終盤で重大な役目を果たす彼女も実は都会からやってきた子です。そしてそれには悲しい理由があります。明るく世話好きな二人のクラスメイト、そして素朴な村人に囲まれ、立ち直りつつあるようです。

キャラクターが良くできているのでわかっていても楽しめるかとは思いますが、”秘密”に最終盤まで気づかない方がより楽しめる物語です。私は本当に虚をつかれました。優は本当に寂しく、心弱い子です。でも、あの手の込んだ方法を一人でこなしていたとしたら、現実逃避している最中も案外冷静で自分のすべきことを本当はわかっていた気がします。そう思うとやっぱりせつなくなります。
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by chirimendonnya | 2006-10-22 19:40 | ヤングアダルト

私の股関節年齢

日曜日に「あるある大辞典」を見ていたら、
股関節年齢がわかるという”足上げターン”なるものが紹介されていました。
詳しくはこちらを・・・。


やってみると、非常に惨めな結果が待ち受けていました。
利き足の右足ではよろけてしまい、左足に至ってはこけてしまいました。
私の年齢では標準的だという1分間に20回前後は夢のまた夢。
老人並みの股関節です。
体が硬い、運動神経が悪い、と自分で必死に言い訳を考えてみますが、
目の前が真っ暗になってきました。

股関節が固いと代謝が悪くなって肌荒れしたり、老けて見えたりするするというし、
第一、そんなに複雑な運動でもないのにろくにできないというのはショックです。

その日から毎日この運動をやることにしました。
今のところは続いています。
当初の老人並みから60代くらいには進歩してきたので
実年齢並みの股関節を目指して頑張ることにします。
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by chirimendonnya | 2006-10-19 21:22 | 日記
表題作『少年と少女のポルカ』、『午後の時間割』の2編収録です。
表紙絵は漫画家の岡崎京子が担当。本の内容にあっていて良いと思いました。講談社から文庫版が出ていますが、単行本とはうってかわって地味で無難な表紙になってしまって残念。この本に限らず、文庫化するときに無難な装幀になってしまうのは残念です。


『少年と少女のポルカ』
なにやら楽しそうな題名だけど、内容は同級生(男)に恋する男子高校生、女になりたい男子高校生、電車に乗るのが怖い女子高生の日常の積み重ねです。どの子もあんまりそこらにいそうにないタイプではありますが、その変わっている点をことさら強調することなく、さらっと自然に描かれています。
 三人の中でダントツで明るいのが女になりたい男子高校生ヤマダ。あくまで自らの願望に忠実に突き進む姿は痛快ですらあります。ヤマダの悩みも彼女?なりにはあるようですが、すでにそんなことは突き抜けてしまっているようであくまでポジティブ。うらやましくなってしまうくらいです。
 それに比べると明るいゲイを目指しているトシヒコの恋心や行動は密やかな感じがします。性格的にもどちらかというとぶっきらぼう。でも、電車に乗れなくなってしまった幼なじみミカコのリハビリにつきあってやったりして結構優しいようです。素っ気ないようで執念深い彼、この先どんな人生を歩むのでしょうか。
 さて、電車に乗れなくなってしまった女の子ミカコ。作中では一生懸命だし、結構明るい子に描かれています。何となく応援したくなってしまう子です。個人的には彼女に一番共感しました。
 日常の積み重ねに終始する話ではありますが、ちゃんと盛り上がりもオチもあり、爽やかな高揚感も感じました。ただ、トリオの一人に対しての結末は非常に苦くその人物の幸せを祈らずにはいられません。


『午後の時間割』
最初っからいきなり主人公の浪人生(高校を卒業仕立ての女の子)が「64歳になろうと決意した」という人を食った文章で始まります。といっても全然SFでもなんでもありません。始まってしばらくはグータラ浪人生のだらだらした日常です。64歳になるっていったって意味ないじゃん、と思って読み進んでいきましたが、ひょんなきっかけで高校時代の同級生(結構いい感じ)とつきあうことになります。そして、最後は何ともいえない切ない感じで終わります。結局18歳が64歳みたいに物事を達観するのは無理だった、ということなんでしょうね。


二作とも読んでいてすごく優しい感じのする作品でした。著者の人柄が現れているような感じがします。
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by chirimendonnya | 2006-10-14 19:59 | 小説
あらすじ:
かつて織田信長の右筆を務めた太田牛一。「本能寺の変」後に秀吉に仕え、年老いた今は大坂で隠居生活を送っている。今も敬愛する信長の伝記を3部作にして書き上げるつもりであったが、自分が側近で仕えていた時代以外のものは資料がなかなかそろわず、思うように進まない。あの「本能寺の変」前後のこともなかなかわからないのだ。それでも、旅などを通して少しずつ核心に近づいていくが・・・。


少し前に小泉前首相の愛読書として話題になった本、といえば思い出す方も多いかもしれません。首相の任期が切れたから、というわけでもないだろうけど、図書館で発見したので借りてきました。歴史物はわりと好きなので。

よく調べられていることは確かですが、明らかに無理が感じられる部分もいくつかあり、どこまで嘘でどこまで創作なのかわからない部分があります。まあ、日本史の中でもよく知られている時代なのですべて本当だと信じる人もいないと思いますが・・・。

主人公であり、狂言回しでもある太田牛一はやや皮肉屋ですが、冷静、それでいてなかなか人情のある人物に描かれています。すごく魅力があるわけではないけど、謎を探る役回りには適任に思いました。その他の登場人物は、そんなに魅力的とも思わないかわりにあまりいやな感じもしません。

強いていえば主人公の後半生の主君でもある秀吉は非常にいやな人物になっているのはちょっと気になります。この作品に限らず、秀吉をいやな男に仕立てるのは最近良くあることなので、一つのトレンドなのかもしれません。でも、あそこまでの未曾有の大出世を遂げた人物。もう少し良く書いても、と思います。ただ、「本能寺の変」後、同じ立場の者や格上の者を次々追い抜いていってしまった秀吉に対する元同僚の視線はあんなもんかもしれません。そういう意味では非常に説得力のある造形です。それにあれだけいやな男に書かれていても魅力的に感じる部分があるのはさすがです。

登場人物の魅力よりは「次が気になる、早く読みたい」と思わせる語りのうまさ、引きの強さがポイントの小説です。虚実ない交ぜの部分があるとはいえ、次々と明かされる謎、だましだまされの駆け引き、人間関係など読んでいて飽きることはありませんでした。
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by chirimendonnya | 2006-10-08 20:04 | 小説