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by chirimendonnya
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あらすじ:
貧民街に”小人”として生まれ、数奇な運命をたどって法王レオ10世のお付きとなったペッペ。その彼が、生まれてからつい最近までの出来事を振り返る。全ては、ある美しい女性に異端のグノーシス派への入信を進められたことが始まりだった。

Amazonで検索してみると、発売当初には何だかすごい帯がついてたみたいですが・・・。私は『ダ・ヴィンチ・コード』にも『薔薇の名前』にも似ていないと思います。そもそもこの作品は、謎解きがあるにはあるけど、いわゆるミステリーとは違う作品だと思います。冒頭で主人公ペッペが言っているとおりに『グノーシスの小人の回想録』以上でも以下でもありません。確かに最後に謎が明かされる場面があるにはあるけど、伏線や前ぶりも特になく唐突で、やはり回想録の中の一幕ととらえるのが自然だと思います。

彼の信仰している”グノーシス派”というのは、ものすごく簡単に言ってしまうと肉体と精神は全く違った者が作ったと言うことにしているようです。読んでいると、生まれつきのことでただでさえつらいのに一時はサーカスでさらし者にされるという辛い経験(それすらも持ち前の頭の回転で逆手に取ってしまうペッペはなかなかの男です)をした彼、また他の信仰を共にする人たちが惹かれるというのはわかります。中身に常人ではとても理解しがたいおかしな部分がある(少なくともこの本では)としても、心が救われる部分があったのでしょう。

この本を語る上で欠かせないのはローマ法王レオ10世です。宗教改革のきっかけとなった免罪符の大量発行をした人、といえば思い出す人もいるかもしれます。性的嗜好はちょっとどうかと思いますが、単なる変態にだけに終わらず、なかなかチャーミングで時に政治家としても見どころのある人物として描かれています。途中までしょうもない人感が強いだけに、余計に終盤で見せるいくつかの政治的決定には感心します。

話の筋は宗教改革の裏でこんな動きがあったとしたら面白いなと感じられるものです。また、中世の位雰囲気が出ているのもいいです。ただ、訳者も作業をしていてなんどもくじけそうになったというほどのエログロな表現が多く、読んでいて時々気持ち悪くなりました。主人公ペッペの視線はかなりクールなので、そうした表現もドライではあるのですが、あまり万人受けしそうにありません。これか読む方は、カバーの作者紹介と作品紹介をお読みになってから判断するのが吉でしょう。
# by chirimendonnya | 2005-10-01 13:52 | 小説
作品紹介:
宇宙に浮かぶ博物館惑星「アフロディーテ」。ありとあらゆる美が集められ、一部の学芸員は自らの頭脳とデータベースを直結させて仕事を進めている。その中で繰り広げられる9編の物語を収録。

短編集という形を取ってはいますが、一応最終話につながる大きな筋はあって非常にすっきりとした形で終わります。最終話以外には名前しか出てこないのに妙な存在感がある主人公の妻が最後にあんな活躍をするとは思っても見ませんでした。いつ出てくるのかと気にはなっていたんですが・・・。

生身の人間の頭脳とコンピュータを脳外科手術でもって!つなぐ、なんて良くも悪くもすごい世界だと第1話で思いました。しかも、いやになったからと言って元の体には戻れないというところに恐怖を感じます。読んでいる限りでは大きな代償を払っている割に便利でもなさそうだし、技術の進歩が一概にいいとはいえません。それどころか、人間の感情やもともと持ち合わせてる能力に負けてばかりです。9編いずれも最後は人、ということを強く感じます。こんな凝った仕掛けのある話でそう感じるのはちょっと意外な気もしますが、芸術作品を扱ってるから当然ともいえるかもしれません。作品は感情の高まりを利用して作られているもの。その中にはどうしても数値やデータだけでは片づけられないものがあるはずです。

出てくる人たちも改造手術を受けている人がほとんどと思えないほど、人間的。やたら自信家の後輩に悩んだり、他部署との調整に困ったり、仕事が忙しすぎて家に帰れなかったり、普通の社会と変わりません。そんなに個性的な人は出てこないながらも会話のやりとりが楽しかったです。機械みたいでは味気ないですものね。
# by chirimendonnya | 2005-09-25 11:51 | 小説

ゴヤ

あらすじ:
18世紀スペインの天才画家ゴヤ。80歳になる彼は、フランス・ボルドーで娘ほども年の違う生涯最後の恋人、そして幼い娘ロサリートと静かな暮らしを送っている。かつて宮廷で栄華を誇った彼も今では口ばっかり達者で偏屈、でも愛すべき老人となった。そんな彼が過去の作品や栄光、恋を振り返る。

スペインで制作されていることもあって、娯楽性はほとんどない芸術的で幻想的な映画です。年老いた彼が時系列に従って自らの生涯を振り返るのではなく、細切れに色々なイメージが交錯します。取り入れられているエピソ-ドのどこまでが真実なのかは、ちょっとわかんないですけど、ゴヤの生涯や作品に興味を持っていたので見ていて結構面白く見ることができました。セットも本当に豪華。音楽もスペインらしくて雰囲気に浸れました。あと、光の使い方が本当に上手です。スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞(この名前を見ても国民的な画家というのがわかります)を5部門受賞したというのもわかる映画です。

ただ、結構グロい(言い方がまずいか・・・。)絵も描いていた人なので、そういう絵の絡む幻想シーンはかなりこわくて、うっと来ました。例えば「我が子を食らうサトルヌス」。ギリシャ神話から材を取ったこの作品は普通に見てても不気味なこの絵が、映画の中ではサトルヌスの口から血がたらーと流れます。その他、一連の「黒い絵」、「マドリッド、1808年5月3日」などはテーマからいっても深刻で見ていてしんどく感じる映像でした。

逆に「黒衣の女」や「裸のマハ」の制作シーンは、ゴヤの人生で一番輝いていたシーンらしく、美しくロマンチックです。ゴヤの意中の人でもあったアルバ公爵夫人カイエターナとの思い出がロマンチックに綴られていて、特に「黒衣の女」のシーンはこの映画で一番気に入った部分でした。カイエターナ役の女優さん、いかにもスペイン美人という感じの素敵な女性です。

全体的に深刻な作品の中で、笑いを誘われたのがゴヤが夜に絵を描くときの格好。何故かろうそくを縁にいっぱい並べたシルクハットをかぶって仕事をしています。なんか八ッ墓村を思い出してしまいました。絵を描いてるときに悪夢に襲われるシーンが出てきたときは、「そんな格好してるから・・・と、思わずつぶやいてしまいました。
# by chirimendonnya | 2005-09-24 20:46 | 映画

ルパン

今日は女性デーで映画料金1000円だったので映画を見に行きました。何となくきれいで楽しそうだったので、「ルパン」をセレクト。女性デーということで女性が多かったです。上映後にこの映画の話でものすごく盛り上がってるカップル(特に男性の方)が後ろを歩いてて、ちょっとうらやましかったです。

あらすじ:
 少年アルセーヌはボクシングトレーナーの父と母と共に親類に当たる貴族の家で暮らしている。しかし、父は実は泥棒だった。警察が屋敷に踏み込んだときから少年の運命は激変する。
 やがて大泥棒へと成長したアルセーヌは、伯父を中心としたグループと謎の女カリオストロ伯爵夫人(ジョゼフィーヌ)とが競う王家の財宝探しに関わることになる。数年ぶりに再会した従姉妹クラリスと愛を育む一方、ミステリアスなジョゼフィーヌともたちまちの内に恋に落ちる。ジョゼフィーヌは100年生きているなどといわれているが、真偽やいかに。そして、関係者同士が時に敵、時に味方となって探し求めている財宝は誰の手に?


カルティエが全面サポートしているだけ合って、ジュエリーはどれも溜息ものの美しさです。セットや衣装も美しく、いい目の保養になりました。ルパン生誕100周年記念作品ということで、なかなか力の入った作品です。

お話は数あるルパンシリーズの中から『カリオストロ伯爵夫人』を下敷きに色々なエピソードを追加したものとなっています。怪盗ルパンの一生を描いているというのが、目新しい感じです。財宝をめぐっての追っかけっこの中で、ルパンがこっそり教会に忍び込み、派手なアクションでお宝探しの鍵となる十字架を奪い取るところや、電車の中でのアクションはすごい迫力があります。もちろん追っ手が迫っているわけですが、思わず両手をぐっと握ったりして力が入るシーンです。

ただし、エピソードをあれこれ追加して一応オリジナルストーリーにしたせいか、全体としては間延びした印象がします。特に終盤はまだ終わらないのかとイライラしっぱなしでした。上映時間2時間10分くらいだから、最近としては決して長くないんだけど、終わりそうで終わらない感じが続いて疲れました。中だるみがあっても最後の30分くらいでぐっと盛り上げてすっきり終わる映画だったら良かったのに。救いのない終わり方もちょっと嫌いです。

登場人物では主役のルパンよりもカリオストロ伯爵夫人ことジョゼフィーヌがとても魅力的でした。見た目は年齢と疲れが感じられてそんなに素敵とはいえなくとも、何の躊躇もなく悪事に手を染める心の闇、本当に100年くらい生きてきたらしいことから感じさせる寂しさや複雑さを何とも魅力的に演じていました。話が進むにつれ、何だか彼女が主役みたいでした。薬で不老不死らしいですが、あのラストの後どう生きたかちょっと気になります。
# by chirimendonnya | 2005-09-23 20:24 | 映画

早い!安い!うまい!

喫茶店やレストランなどで求められる3条件。
 「早い!安い!うまい!」

でも、この3つがそろったお店というのは今までなかったです。むしろ、時間を節約するために手頃そうな店に入ったのにいつまでも待たされるわ、まずいわ、店員の態度は悪いわで一緒に行った人とのムードが悪くなってしまったことも2度3度・・・。特にもうけを出すために料理を出すのを遅くして飲み物をオーダーさせるようなお店は最低です。だから、最近は多少高くても食事はおいしいお店でしていました。

ところが今日入った喫茶店。入ったらすぐにたった今空いた席に案内され、料理を注文して10分もしないうちに出てきました。しかも、おいしい。この店の看板メニューはスパゲティ・ミートソースでそれを頼んだのですが、さすが看板メニュー!という味でした。デミグラスソースみたいな濃い色で味も結構こってり目なんだけど、しつこくない。パスタのゆで加減もちょうど良かったです。しかも630円。正直、安いこともあって味はそんなに期待してなかったんだけど、思わず謝りたくなるお味でした。入って出るまで30分とかからなかったし、気分良く次の目的地に向かうこうとができました。

それにしても、店のオーナーらしきおばちゃんの手際の良かったこと。入店したお客さん全員に笑顔で挨拶。空席をめざとく見つけるか、なければこれも笑顔で「すぐ空きますからねー。」空いたらすぐに席にご案内。こんな手際の良いお店は見たことなかったので、そこにも感心しました。
# by chirimendonnya | 2005-09-23 19:35 | 日記