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by chirimendonnya
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『プリンス・オブ・エジプト』

あらすじ:
訳あって川に捨てられたヘブライ人(ユダヤ人)の子モーゼはエジプトのファラオに拾われ、王子として育つ。”兄”のラムセスと楽しい日々を過ごすモーゼ。しかし、ある日ひょんなことこら自らの素性を知ることになり、これまでの生活との狭間で苦しむ。そしてついには神殿工事の監督中に殺人を犯し、出奔する。やがて神の啓示を受けたモーゼはファラオとなったラムセスと対立する。

最近は『シュレック』でお馴染みのドリームワークス初のアニメ作品で、旧約聖書の”出エジプト”が題材です。第1作というだけあって映像、キャストなど全てに対して大変力が入っています。キャストはヴァル・キリマー、レイフ・ファインズ、ミシェル・ファイファー、サンドラ・ブロックといずれも主役クラスのスターばかり。さらに主題歌はホイットニー・ヒューストンとマライア・キャリーのデュエットとアニメ自体に興味がない人を呼び込む要素十分。映像はクライマックスの海が割れるシーンを筆頭に、CGと美しい色彩の手描アニメをうまく融合させたクオリティの高いものです。

以前、一度ビデオ(吹き替え版)で見たことがあって映像以外はあまりピンとこなかった作品ですが、最近ノベライズを読んで面白かったので、再挑戦してみることにしました。公開当時、周囲でかなり評判が良かったのに個人的にイマイチだったのが残念だったというのも理由の一つです。

前回、吹き替えだったのが主な理由かと思い、今回は字幕で。そうしたら面白いではありませんか。冒頭の奴隷の怒りがこもった歌からぐいぐいと引き込まれます。ミュージカル形式で進行しますが、どの曲もいい曲で場面にもぴったり合っています。挿入歌が、よりドラマを盛り上げている感じです。もちろん、それも肝心の脚本がしっかりしているからこそです。アメリカの映画は善悪をはっきりと分けて描くことが多いけど、この作品はそうではありません。モーゼとラムセスのお互いに対する感情、立場の違いから来るやりきれなさ、考えの違いを丁寧に描写しています。だから、一応悪役のラムセスも彼の考えは受け入れられないけれど、ある意味立派な王だと感じたし、共感する場面もありました。モーゼの苦しみや自らの立場や使命への疑問も手に取るようにわかります。丁寧な人物描写があればこそ、迫力の画像が生きてきます。モーゼが自らの出自を知る場面、神の啓示を初めて受ける場面はアニメならではの表現。最後のクライマックス場面も今回はすごく感情移入してみていたので、単純な映像のすごさだけではなく、本当に感動しました。もう一度見て良かったです。

字幕で見たらあまりに良かったので、改めて吹き替えでも見てみました。そうすると、意外にいいではありませんか。明らかに下手だったり違和感を感じたりするようなこともなく、歌の場面以外はこれはこれでいいと思いました。ビデオで見たときにはBGMに音声が負けてしまってせりふが聞き取りづらかった記憶があるのですが、今回はあまり感じませんでした。DVD化に当たって調整したのでしょうか。(吹き替えは寺脇康文、椎名桔平など)ただ、歌が・・・。決して手抜きではなく丁寧に作られているのがわかるので、ちょっと残念でした。DVDなら、字幕表示を適当に変えられるからいいけど、基本的に歌詞がでないので曲によっては何を歌っているのかわからない曲があります。あと、翻訳ミュージカルもそうだけど、歌詞が何となく恥ずかしいため、いらいらすることがあります。そのあたりが前に駄目だった原因かと思いました。
by chirimendonnya | 2004-12-22 21:59 | 映画