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by chirimendonnya
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『卵の緒』瀬尾 まいこ   マガジンハウス

表題作の『卵の緒』と『7’s blood』の二つの中編が収録されています。『卵の緒』は家族の、『7’s blood』は姉弟の、風変わりだけど温かな物語。

『卵の緒』
あらすじ:自分は捨て子ではないかと常々疑っている育生は、変わった性格の母親と二人暮らし。ある日、母親から「好きな人ができたの。家に呼んでもいい?」と、聞かれる。その相手、朝ちゃんはなかなかいい男で育生ともすぐにうち解けるが・・・。

 ネット書店などでうっかり検索してしまうと、読む前に話に関わる重要な部分がネタばれされているのが残念。私自身は知らずに読んだのですが、読む前に知っていたら結末での驚きが半減していたと思うので良かったです。
 普通のいやみのない小学校4年生の育生、変わり者の母親の発想がそれぞれあまり突飛でないのがいいと思いました。ここにリアリティがあるので、結末付近の「え!」と思うような出来事にもしらけずにいい余韻が残ります。

『7’s blood』
あらすじ:
高校生の七子は、父の愛人の息子・七生と暮らすことになった。小学生なのに妙にできた七生がいまいち気に入らない七子。しかし、ある出来事をきっかけに二人は徐々にうち解けていく。

七生があまりにもできすぎ君なので、最初あまり人間味を感じませんでした。でも、読んでいる内に年相応の不器用さと特別な育ち方から来る痛々しさを感じ、段々好きになりました。七子の一人称で話が進んでいくから余計にそう思ったのかも。気がつくと七子に感情移入しながら読んでいたので、結末は少し残念に思ったけど、現実的に考えれば、やっぱりあの形はしょうがないのかなとも思いました。
by chirimendonnya | 2005-08-06 19:17 | 小説